複数税率の消費税になったら
2010年12月現在、消費税は 5% の単一税率ですが、もしこれが 複数税率(多段階税率/軽減税率) の消費税制度に変わった場合どうなるのか、という点について、販売管理システム という側面から考えてみましょう。
■納品書/請求書
消費税が複数税率となった場合、販売管理システムで、 まず変えなければならないと思い浮かぶのが 納品書/請求書 でしょう。

例えば、商品A は生活必需品なので 4%、商品B は贅沢品なので 8%、ということが起こります。 そうなると、納品書/請求書には明細ごとに税率と消費税額を明記する必要がでてくるでしょう。
また、このことから、これまで単一税率であるがゆえに可能であった 消費税計算単位 の選択肢 「明細単位/伝票単位/締め単位」は、 複数税率の場合「明細単位」のみとなるでしょう。
■売上入力と売上データ
販売管理システムの納品書/請求書は、売上入力によって入力された売上データを基にしていますので、 当然、売上入力 の画面も修正しなければなりません。


売上データを格納するテーブルには「税率」や「税額」の項目を追加することになります。
画面にしろテーブルデザインにしろ項目を追加するだけでは済みません。 ほとんどの販売管理システムでは、消費税の自動計算の機能があるはずですので、 その部分のプログラムも複数税率用に修正しなければならないでしょう。
売上入力の前に、見積入力・見積書印刷、受注入力・受注伝票印刷 の機能がある販売管理システムの場合、これらも上記のような修正が必要になることでしょう。
■仕入入力と仕入伝票
売上・売掛管理だけではなく、仕入・買掛管理の機能をもつ販売管理システムの場合には、 仕入入力 の画面と 仕入伝票 も複数税率対応のための修正が必要になってきます。



もちろん仕入データを格納するテーブルには「税率」や「税額」の項目を追加することになります。
■商品マスタ
多くの販売管理システムには、仕入や売上などに使用される 商品マスタ が存在すると思います。 複数税率となった場合、商品マスタのテーブルレイアウトとマスタメンテナンスの画面も 修正することになるでしょう。


商品マスタ選択用のダイアログ画面などを有するシステムの場合、 その画面にも税率を表示させたいということになれば、 その画面も修正することになるでしょう。
■概算工数
以上、販売管理システムの基本的な機能をもとに、
複数税率(多段階税率/軽減税率)に対応するのに必要な修正点をあげてみました。
これらに対応するための工数を K-REE なりに試算してみました。
※かなり、しぼった試算です。
項目 | 詳細 | 概算工数(人日) |
---|---|---|
仕様確認、修正仕様作成 | 3.0 | |
プログラム修正 | テーブルデザイン | 0.5 |
商品マスタメンテ | 0.7 | |
商品選択ダイアログ | 0.4 | |
消費税計算共通モジュール | 1.5 | |
見積入力 | 1.0 | |
見積書 | 0.5 | |
受注入力 | 1.0 | |
受注伝票 | 0.5 | |
売上入力 | 1.0 | |
売上伝票(×3種) | 0.9 | |
仕入入力 | 1.0 | |
仕入伝票 | 0.5 | |
その他(消費税計算単位の統一等) | 1.5 | |
単体テスト、総合テスト | 4.0 | |
ドキュメント修正 | 2.0 | |
納品作業、操作説明 | 0.5 | |
※ 合 計 ※ | 20.5 |
複数税率に対応するための概算工数は 20.5人日 で、1人月オーバーとなりました。
もちろん他の機能や各社独自の機能があるシステムの場合、さらに修正が必要になることでしょう。 また、場合によっては既存データベースのコンバート(一括変換)が必要になることもあるかもしれません。
修正を依頼する会社によって試算方法は異なりますので、上記はあくまでも参考程度に・・・。
市販の販売管理パッケージやフリーの販売管理ソフトを使用している場合には、 提供元が複数税率対応のバージョンアップをするのを待つことになります。 その場合、有料か無料かは提供元によって異なるでしょう。
それにしても、販売管理システムは多くの会社で使用していることでしょうから、 消費税が複数税率(多段階税率/軽減税率)になったら、ソフト関連業界の特需になるかもしれませんね。
■最後に
K-REE Access販売管理 は、
複数税率(多段階税率/軽減税率)に対応したフリー(無料)の販売管理システムです。
↑ これが言いたかっただけだったりして・・・ (^_^;